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言いたいだけ

「ロメオ2015」をヴィクトリア朝英文学っぽく解釈した

小山慶一郎 NEWS

 2016年4月20日、NEWS LIVE TOUR 2015 WhiteのDVD/Blu-rayが発売された。初回・通常版には共通のSpecial Reelとして、NEWSメンバー個々のソロ曲のMusic Videoが収録されている。今回は、その中でも「ロメオ2015」のMVがあまりにも英文学科卒*1の私の心に刺さったので、久々にレポート擬きを書きたくなって勢いで書いています。あんまり裏付けとってなくて記憶をひっくり返してますので間違いがあっても多めに見てやってください。※ちなみに追記からは完全に個人的趣味で小山くんが中世イギリスの良家の生まれだったら…?という話をします

 
 「ロメオ2015」は、そのタイトルと歌詞に出てくる「ジュリエット」から、かのシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』がモチーフとなっているのは自明のことと思う。まずはフラゲ日に帰宅してさっそくMVを見始めた私の興奮を表したツイートを引用させていただきたい。
 

 
 そもそもみなさんは、ゴシック小説なるものをご存知だろうか。以下Wikipediaより引用する。
 
ゴシック小説(ゴシックしょうせつ)とは18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説。ゴシック・ロマンスGothic Romance)とも呼ばれ、その後ゴシック・ホラーなどのジャンルも含むことがあり、今日のSF小説ホラー小説の源流とも言われる。*2
 
詳細については脚注のリンクから参照していただくとして、ゴシック小説には幾つか特筆すべき定型的な特徴がある。
  • 古城・お屋敷が舞台
  • 当時の封建制度に囚われる女性の登場
  • 超自然現象の発生
私が専攻していたブロンテ姉妹は、こういったゴシックの影響を強く受けてかの有名な『ジェイン・エア』そして『嵐が丘』を書き上げたわけです。で、「ロメオ2015」のMVにはこれらの定型要素が大よそ含まれているように私には感じられた。ということで、これらについてMVの時系列に沿って述べていきたいと思う。
 
  • 古城
 ロメオのMVのロケーションが行われたのは、群馬県にあるロックハート城である。この城は実際にイギリス・エディンバラ近郊に存在した古城を日本へ移築したものであるそうだ。*3城の周囲には鬱蒼と木々が生い茂る。人里離れた古城という点でゴシック小説の構成要素としては申し分ないロケーションだ。小山くんもといロミオ一郎は、ジュリエットを探して駆け回る。
 
  • 封建制度に囚われた女性

 ロミオ一郎が血眼になって探すジュリエットと思しき女性が登場する。彼女はカーテン越しに外を観ている。彼女がいる部屋は恐らく2階以上に位置しているはずだ。探し回るロミオ一郎を上から撮影したアングルが多いのはそのせいだろう。あちこちを駆けずり回っていたロミオ一郎は、一か所だけ鍵がかかっていない扉を発見したのか、勢いよく建物の中へ飛び込んでいく。その少し前に塔が映り込むショットが挟み込まれているが、あれはジュリエットが塔に幽閉されていることを我々に暗示させるものである。

 ただ上の階の部屋にいるだけじゃないの?と思う方もいらっしゃると思うので少々補足をする。なぜ私がここで女性が「幽閉」されていると半ば断定しているかというと、この「幽閉」もまたゴシック小説(というよりは当時の抑圧された女性像)に欠かせない要素の一つであるからだ。

 ヴィクトリア朝当時の社会背景的には、女性は自らお金を稼ぐことはほぼなく、結婚して家庭に入る=家庭の天使となることが美徳とされていた。キリスト教の「女性は男性の肋骨から作られた」という思想に起因する、いわゆる男尊女卑的考え方がまかり通っていた時代。更にいえば、女性にはまともな勤め口さえなく、中産階級の女性が自活していくには、ある程度の学問を修めて、家庭教師(Governess)として新聞等に求人を出し、雇われた屋敷で家政婦同然に奉公をせざるを得なかった時代である。つまり当時の女性は、幼いころは父親の庇護の下で育ち、大人になってからは夫に従うといったように、その生涯に渡り経済的に男性に頼らざるを得ず、常に抑圧され続けていた。こういった封建制度に囚われた女性像は、しばしば物理的に建物に閉じ込められるという形で描かれてきたわけです。

 もうこの際本家ロミジュリは一切考えずに話を進めますが、私がこの場面から想像するロミオ一郎くんとジュリエットの関係性は次の3つ。

  1. 良家の令嬢ジュリエットとミドルクラスロミオ一郎の身分の違いの恋―タイタニック風味
  2. 逆にロミオ一郎の家柄の方が上―韓国ドラマでよくあるパターン
  3. 親が決めた相手と意思の伴わない結婚をしたジュリエットを真摯に思い続けるロミオ一郎が、彼女が住む家に乗り込んできた―ちょっと嵐が丘風味

 個人的には1+3を推したい。

 

  • 超自然現象の発生

  MV中に超常現象なんてなかったじゃん!?と思われる方が多いと思いますが、終盤ロミオ一郎が階段を駆け上がるシーンで、何かにハッとして足を止める。その後思わせぶりにジュリエットが腕をだらりとさせてソファーに横たわる画面が挟み込まれ、何かを悟ったロミオ一郎は床に崩れ落ち、頭を抱える。これこそが正に超常現象です。だってロミオ一郎はジュリエットをその目に見ていないのにもかかわらず、彼女に何かが起こったことを察知しているわけですから。*4きっと本家でいうところの仮死状態になる毒を飲んだっていうことでいいんでしょうね。そしてロミオは彼女が死んだと思い後を追って自害する、ここからは各々で想像しなさいよ、という余韻を残してMVは終わっているんでしょう。

 でもなんでロミオは彼女に何かが起こったことを察知できたのか?彼に何かを知らせることが出来る人物は一切登場しないし、彼女が服毒したことで何らかの異音がし、それがロミオに届いた、とも考えにくい。だからこれはテレパシーだと私は結論付けたい。

 テレパシーと言えば、『ジェイン・エア』の終盤を思いうかべる。主人公のジェーンは、ロチェスター*5との結婚式の最中に、彼が重婚していたことを知り、失意のまま屋敷を出て放浪、出会った宣教師の家にしばらく身を寄せる。しかしある日、ロチェスターが自身を呼ぶ声を聴き屋敷へ戻ると、そこには火事に遭い盲目になった彼がいて、二人は再会を喜び、これからの人生を共に歩む決意をする。という場面だ。ジェーンは屋敷に戻るのに馬車に数時間揺られることになるので、物理的に考えてロチェスターの声が彼女に届くのはあり得ない。でもそんなあり得ないことが描き込まれるのもまた、ゴシック小説の特徴なのである。

 

 「罪と罰の狭間で」する恋愛とはなんぞや、とずっと考えていたのですが、当時でいう「罪」っていうと女性はご法度とされていた婚前交渉か不倫かな…「絡めた指先にいつも感じていたためらい」「会えない夜に狂おしいほど」っていう歌詞からして関係を持ってるのは間違いなさそうなんだけど。「誰にも気づかれないように囁いた愛の言葉」「近くにいるのに埋まらない気持ち」というのは、距離感の近さを連想させる。そう考えると、この曲はずばり、「望まない結婚をしたジュリエットと、かつて彼女に仕えていた使用人ロミオ一郎の身分を越えた禁断の恋の物語」*6なのではないだろうか。

  全く文章がまとまらなかったけどもう無理やり〆る。つまるところ報われない小山くんが不憫かわいくてかっこよくて最高なMVでした!!!

 

 

 

 今さっき「ロメオ2015」は“嫁いだジュリエットと元使用人ロミオ一郎の身分を越えた禁断の恋の物語”と結論付けたばかりなんだけど、ロミオ一郎、小奇麗な服着てるし、育ち良さそうじゃない…?という私の主観まみれな感想から、「彼、実は上流階級の出自なんじゃ…*7」という想いが頭をもたげ始めた。本家ロミジュリでも、たしかロミオは貴族階級ということになっていたはず…ということで、彼はどんな出自が似合うか考えていこうと思う。

 

 ジャニーズに最も似合う称号が「騎士(ナイト)」であると勝手に思っている。ただしKnightは厳密には貴族階級には含まれず、しかも世襲制ではなく一代限り。日本でいうところの紫綬褒章とかそんなイメージだと勝手に思っている。Knightより上の爵位Baronet, Baron, Viscount, Count…と続くが、どれも高尚すぎる(王から直接領地をもらったりしてるとは到底思えない)。きっとロミオ一郎くんは爵位世襲するほどの良家の生まれではなく、あの年齢でKnightの称号を得ているはずもない。よって、彼は爵位を持たないだろう。 

 

  • Gentry

 大地主層。王から土地を与えられるのではなく、自ら土地を購入して領地を広げ、その領地に立脚した不労所得を得るという特徴がある。先述したロチェスターの身分は恐らくここ。土地を持つ者だけでなく、教師や宗教関係者、医師などの専門職に就く者もこの身分に含まれた。…ジェントルマン。いい響き。とてもよく似合う。彼らは規律正しい寄宿学校に学ぶそうですね…なにそれめっちゃいいじゃん安易に好きだわ…

 

  • ブルジョワジー

  商人のなかでも特に富を蓄積し、その財力によって支配階級にまで成り上がった層のこと。貴族に準ずる待遇を得る者もいたという。ロミオ一郎のあのスマートな佇まい、商人のものではないような気がする。商人と聞くとお金にがめついイメージを持ってしまう…よってボツ。

 

 お気づきでしょうが、身分制度に関する知識がものすごく薄いので、ここからが本題とか言って、爵位を与えたい!!!と意気込んで書き始めたのにこんな顛末ですよね。まあとりあえず私が考えるロミオ一郎くんの身分はGentryに落ち着きました。”身体労働は伴わず、不労所得や文化的活動で所得を得る”層らしいので、中の人の職業にも通ずるところがあってよいのではないかと思います(投げやり)。

 私個人としては、身分制度からはちょっと外れるけど小山くんは大企業の御曹司(次期社長だとなおよし)(今の見た目・スーツの着こなしでちょっとチャラついた感じが花丸)で、箸にも棒にもかからない私に目をかけてくれるという設定を欲しているので、とりあえず金持ちボンボン一郎くんの供給を心待ちにしております。以上!

*1:ヴィクトリア朝イギリス文学(というかブロンテ)専攻。シェイクスピアは専門ではありませんのでご容赦ください

*2:ゴシック小説 - Wikipedia

*3:http://www.jrs-w.com/lock-heart/castle.html

*4:もしかしたらこの崩れ落ちるシーンの前に彼女の「死」を目の当たりにしたのかもしれないけれど

*5:ジェーンが雇われていた屋敷の主

*6:チャタレイ夫人の恋人

*7:オリバー・ツイスト的な