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なたでここ

言いたいだけ

「シンメ」という運命共同体―NEWSの過去のインタビューより

NEWS 増田貴久 加藤シゲアキ 小山慶一郎 手越祐也

本当はシンメに10000字についての期末レポート(違)を書き上げる予定だったのだが、気づいたら壮大なNEWSにおけるシンメ論が出来上がっていたのでそのまま掲載することにした。テーマのn番煎じ感が否めない。きっとこんな内容の記事は他に五万とあることでしょうね……ちなみに今回はあまり私情ははさんでいないつもり(あくまで私比)。なお、特筆していない引用部の出典はMYOJO 2015年6月号~9月号のNEWS 10000字インタビューによる。

 

そもそも「シンメ」の定義とはなんだろう。「シンメ」とは、「シンメトリー」を略したもの、もともとはJr.用語で、単にダンスのポジションが左右対称になっていることを表していたのだという。いつから私たちヲタクは特定の二人組が持つそのシンメ性に様々な側面を与え、(勝手に)恋い焦がれ、萌えの対象として崇めるようになったのだろう。

 

少し本筋からは外れるが、ジャニーズ事務所において、やはりデビューできるかどうか、というのは結構シビアで重要な問題らしい。例えば小山は以前このように述べている。

デビューが決まったときは、正直まだまだ人ごとのようだったな。(...)ジャニーズってものをやっと把握しはじめくらい。まだ部活動の延長というか、学校帰りに行く習いごとみたいな感じもあった。それに、この仕事を一生の職業として受け止めてはいなかったと思う。ただ、20歳でデビューできなかったらジャニーズ事務所を辞めようっていう自分なりの基準は持ってたんだ。一生できる仕事じゃないと思ってたし、デビューできなかったときのことを考えておきたかったから。というのも、俺は高校生で事務所に入ってるから、ある程度自分を客観的に見れていたし、ジャニーズ事務所という華やかな世界にいる自分を一歩ひいて見てる自分もいたからね。(...)それで、20歳になってもデビューできなかったら、ジャニーズとしての夢はあきらめて、ふつうの大学生に戻って就職活動しよう…そう思ってた。*1

 

「グループないしユニットに所属すること」は「デビュー」*2するための布石として結構なウエイトを占めているように思う。以前から「デビュー」前から人気を博すJr.は存在していた。例えば「東の滝沢、西の渋谷」とか、「仁亀」とか、それこそNEWSが結成される前の「やまとま」*3だってそうだろう。最初に挙げた2人はフォーメーションで対となる「シンメ」とは少し違うような気がするが、そうやって人気や共通項といった様々な要因でセット売りされ、一定の支持を得た彼らが、必ずしもそのまま一緒にデビューできるわけではないのがジャニーズのおもしろいところだ。おもしろい、なんて簡単に言ってしまったが、実際にはもっとシビアな問題だ。その時点で彼らが持ちうる実人気は、そのまま2人で「デビュー」しない限り、他の人間の流入や「シンメ」の解体によって少なからず流動し、無に帰す可能性すらある。いつの間にか手に入れた安住の地があったなら、そこにずっといたいと思う気持ちはわからなくはない。でも、そうはいかない。どこまでも期待を裏切ってくるのがジャニーズ事務所で、私たちはその手のひらの上で常に踊らされている。

 

「デビュー」と同じくらい、「シンメ」も恣意的に造られたものだ。私の知る限り、芸人さんのように「一緒に組もうぜ!」とお互いに意気投合してシンメになる2人はジャニーズにはいない。天からの一声によって、昨日まで見ず知らずの2人がお互いを「相方」としてその後一定期間過ごしていかなくてはならないのだ。当然初めのうちはマイナスな感情しかないだろう。それでも、受け入れなければならない。きっと将来的に自分にメリットがあるのだと信じ、彼らは「シンメ」としての道を歩み始める。

 

さて、本題に戻る。NEWSは「コヤシゲ」と「テゴマス」と言うシンメで構成されるグループだ。性格は正反対なのにウマが合う親友のコヤシゲと、性格は正反対だし、決して趣味嗜好が合うわけではない戦友のテゴマス。面白いくらい、真逆の2人同士がよくもまあタッグを組んでいるものだと思う。

 

NEWSが結成されるちょっと前に、手越と俺がジャニーさんに呼ばれていろいろ話す機会があったんだ。そのときジャニーさんに「ユーたちはふたりいっしょにいたほうがいいよ」って言われた。「ふたりでいっしょに歌ったほうがいい」って。ジャニーさんとしては、歌を中心にしたグループを作りたいっていう思いがあったみたいなんだよね。だから実はもともとNEWSができる前から、手越とふたりで歌うことははじめていた。(...)グループになる前でも、よく言うシンメがずっと同じ人っていうのが俺にはいなくて。だからジャニーさんが「ふたりでやるといいよ」って言ってくれたときはうれしかったな。そんなふうに言われたのは初めてだったから。*4

初めから「歌うこと」のために造られたシンメがテゴマスだ。「シンメ」結成当初、すでにjr.の中堅にいた増田は、初対面の、まだ事務所歴半年やそこらの手越に「まっすーさぁ~」と話しかけられたことに憤りを覚えたという。しかし、手越は抜群に歌が上手かった。歴の長さと、持って生まれた才能。互いが互いに嫉妬し、あいつに並んでやろう、いつか追い越してやろう、そういう感情がきっと彼らにはあったはずだ。

 

かたやコヤシゲはどうだろう。様々な発言を読む限り、加藤の方が一方的に劣等感を覚えていたように見える。

 Jr,時代から仲良かったけど、小山の方が前に出てたし、小山は目立つ存在で。(...)小山は3歳年上なんで、大学に入ったり、ハタチになったり、俺より3年早くいろんなことを経験して、ドンドン変わっていく。(...)さみしさと、すごいなって憧れと、少しの劣等感があったかな。

テゴマスのように、初めから売りにする要素が決まっていて、それありきで作られた2人組だったら、シゲはまだ気が楽だったのかもしれない。「いつから2人は仲が良かったの?」と問われて、「いつだろう!?」と考えるほど、自然と一緒につるんでいた2人だったからこそ、そこに些細な差や違いが生まれると、あっという間にその「違和」が身を支配してしまう。しかもデビュー当時の彼らは高校一年生と大学一年生。 特にこの年頃の3歳の歳の差は大きい。

 

一度「シンメ」から離れて、NEWSというグループを4つの個で見てみたい。NEWS結成当時、入所が遅く、年の割にキャリアのなかった小山慶一郎。すでにJr.の中堅にいた加藤成亮と増田貴久。入所から1年足らずで選ばれた手越祐也。NEWSに限ったことではないが、私はジャニーズのグループ内での人間関係形成はすごく難しいものだと思っている。同世代の、しかも年頃の青年たちが、ある日を境に急にグループとして一括りにされる。しかもその中には実年齢とは関係なく、事務所歴という上下関係があって、さらに言えばその上下関係とは関係なく、ファンの多さ(絶対量と言うよりは財力と言った方が適切だろうか)でグループ内での順位がつけられる。先述の小山の言葉を借りるなら、やっぱり「部活動」に例えるのが一番しっくりくるのかもしれない。彼らがそのグループ内ヒエラルキーを身を以て実感するのが、恐らくコンサートの時だろう。客席はファンの縮図だ。見回しただけで、うちわの数や客席の色味といった指標で自分のファンの数はある程度把握できてしまう。

 

そういう意味では、コヤシゲ、そしてテゴマスは「シンメ」としては理想的だったかもしれない。「シンメ」は絶妙なバランスで成り立っていくものだと思う。どちらかが爆発的に人気が出すぎてもいけないし、どちらかに致命的な欠陥があってもいけない。2人の権力構造は対等で、均衡であるべきだし、仮に優劣があったとしても、それは表に出てきてはいけない。でも、全く同じではつまらない。シンメは互いが持ち合わせていないものを持っていて、同時に互いを補完しあうものでなければならない。シンメの歩幅は常にぴったりと合っていることが望ましい。我々は「ともに理解しあい、ある種依存しあうシンメ」を無意識のうちに求めている。

 

「NEWSが4人になる」という事態に対しての彼らの想いのベクトルは、まるで示し合せたかのようにきれいに2人ずつ、シンメで揃っている。

 

コヤシゲは、「NEWSの(人脈を繋ぐ)パイプでありたい」と話す。

どっかで自分が、自分がもっとがんばってたら、もっとメンバー同士をつなげられたんじゃないかって後悔かな。 ―加藤

僕はたぶん、血管というか神経というか。グループとファンを結ぶ、グループとスタッフを結ぶパイプだと思ってる。―小山

待ってくれる人がいるから、いつも完璧なNEWSでありたかった、と口をそろえるテゴマス。

 (チャンカパーナのリリースに際して)僕は“これで絶対にいける”って自信が持てる作品を作りたかった。―増田

“人数が減ったから、これくらいの楽曲しかできないんだ”って思われるのは絶対にイヤだった。―手越

 

人数が減る前に「自分がもっとがんばっていれば」と悔やむシゲと、そのシゲに賛同するように現在の「NEWSの繋ぎ役」を自認する小山。もともとのアーティスト性も相まって、どこまでもNEWSの完成度を追究し、努力を怠らないテゴマス。先述した通りの、実に理想的なシンメ像だと思う。

 

今回の10000字インタビューで、個々がメンバーに宛てたメッセージに私はいたく感動していた。なにより、その相方に対する熱量が思いのほか大きかったものだから、軽い驚きさえ覚えたし、本当に心を打たれた。

小山→加藤

唯一、ずっと寄り添って、支えてくれていたのはシゲだったと思う。俺にとってシゲは、すごい支えだった。(...)2人になってもNEWSをやろう、って思ってくれる人が、こんな近くにいてくれるって、本当に支えだったよ。(...)お前がその気なら、俺は誰とだって戦うって決めた。

加藤→小山 

小山が、じつはネガティブで、ちょっと臆病で弱気なことを俺は知ってるし、反対に小山だけが知ってる俺もいると思う。(...)意外と天然なところあるから、守ってあげなきゃみたいな感覚かな(笑)

 増田→手越

こんだけ歌うことを追究できてるのも手越との出会いがあったからだと思うし、歌についてこれだけこだわるようになったのも、手越に出会ったからだと思う。ホントに感謝してる。手越との出会いがNEWSにもテゴマスにもつながったんだから、すごく大っきな出会いだよ。

手越→増田

一番のパートナーってことは間違いないし、その才能を認めてるっていうか。(...)四六時中一緒にいたいとは思わないけど、“早く一緒に仕事したいな”って思うかな。(...)唯一無二じゃないけど、テゴマスはそういうものになった自負がある。

 

人数の変遷を経て、より一層絆が深まった彼らを見ていると、本当にシンメのシンメたる所以が窺い知れる。もうシンメとかシンメじゃないとか関係なく、私はNEWSのメンバーが一緒にいるだけ萌えてしまう性質なので(特にこやてご)あまり説得力がないかもしれないが、これまでも、そしてこれからも、けーちゃんの相方はシゲしか考えられないし、シゲの相方は小山以外ありえない。てごちゃんの相方はまっすーだけだし、まっすーの相方だって手越しかいない。きっとそうやって物語は紡がれていく。

*1:ポポロ 2013年6月号

*2:ここで言う「デビュー」とは、CDやDVD等を発売することとする

*3:「斗真に仕事がなかったら(NEWSのコンサートを)全公演見に来てほしかった」と彼が言ったことを、私はいろんな意味で一生忘れない

*4:ポポロ 2013年8月号